リンゴ青カビ病菌 enicillium expansum O-385-10のグルコースを利用しての生育は著しく不良であった.この培養において, 本菌はグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを生産し, 培養液中にグルコン酸を蓄積した.そのため培地pHの低下に伴う生育不良が生じたものと考えられた.炭酸カルシウム添加により培地pHを中和した本菌の培養から, グルコースオキシダーゼおよびカタラーゼを電気泳動的に単一なまでに精製した.精製したグルコースオキシダーゼは分子量約130kDaのホモダイマー酵素で, カタラーゼは分子量約300kDaのホモテトラマー酵素であることがわかった.これらの酵素は, pH3においてもそれぞれ約80%と50%の活性を示していた.また, カタラーゼの活性は1mMのCa2+とBa2+イオンにより著しく賦活化された.これらの精製した酵素をリンゴ果実試料と同時にインキュベートすると, 果実が著しく褐変化された.