北部ベトナム地域で製造される発酵食品中の微生物について研究を行った.2003年3月にハノイ市で5種類37検体の収集を行い, 塩濃度, pHおよび微生物叢について分析を行った.塩濃度は日本の浅漬けよりも低い傾向があり, いくつかの検体は酸度が十分に増加するまで発酵が進んでいなかった.一般細菌数は5~8log CFU/g台であった.2~5log CFU/g台の大腸菌群が検出されたが, 同定株は野菜の常住菌と同様であった .Lactobacillus 属, Leuconostoc 属, Lactococcus 属および Pediococcus 属の乳酸菌が分離された.乳酸菌200株より Listeria monocytogenes に対して抗菌活性を持つものを検索し, 3つのナイシン生産性 Lactococcus lactis spp. lactis 株を分離した.これらの株のnisA遺伝子 (ナイシンAの構造遺伝子) の塩基配列は既報のそれと完全に一致した.なす浅漬けよりグラム陽性菌に対して抗菌活性を持つ Bacillus subtilis 株も分離された.