実際に稼動している食品製造現場において蛋白質ふき取り検査を実施した結果と微生物学的汚染検査や現場作業監督者による目視での汚染度判定結果を比較することにより, 蛋白質検査法による手法が食品製造現場における自主衛生管理ツールとして有効であるか検討した.pH誤差法による蛋白質ふき取り検査について検討したところ40~80μgの蛋白質量があれば, 検出可能であった.オムレツ・和菓子・鶏肉・惣菜・カット野菜などの生産ラインにおけるふき取り検査により, 蛋白質検査法と微生物学的汚染評価 (一般生菌数・大腸菌群数・大腸菌・黄色ブドウ球菌) との結果を比較した.全152サンプルにおいて, 蛋白質ふき取り検査との一致率は94.7% [(68+76) /152×100], 蛋白質ふき取り検査のみ陽性は3.3%であり, 微生物学的汚染と目視による汚染の確認結果を十分に包括している結果となった.2.0% (3/152サンプル) については蛋白質ふき取り検査の結果, 偽陰性と評価されたが, いずれのサンプルも一般生菌数は102CFU/100cm2以下であり, 状況検証による汚れの付着などは確認できなかった.今回のケーススタディの結果, 実際の食品製造現場での汚染原因と蛋白質検出結果との高い相関を確認でき, 初期投資を抑えた自主衛生管理法として有効な手法であることを確認できた.