中国製鶏湯14種, 日本製鶏湯14種およびかつお昆布だし4種について, IMP, GMP, 遊離アミノ酸, 糖, 有機酸, ミネラルなどの成分分析とニオイセンサーによる分析を行った. その結果, 中国製鶏湯はグルタミン酸が有意に多く含まれ, おそらくMSGが添加されたうま味のあるスープといえる. 一方日本製鶏湯はTauとKが有意に多く含まれ, 標準偏差が大きく有意の差を出すには至らなかったがIMPが多い傾向にあった他, うま味および甘味を有するアミノ酸類が比較的多く含まれていた. 主成分分析から日本製鶏湯とかつお昆布だしは近くに位置し, 中国製鶏湯とは離れて分布した. 判別分析の結果, 3種の試料は呈味成分によって判別できることが分かった. また, 中国製鶏湯と日本製鶏湯, かつお昆布だしはニオイセンサーによっても判別できることが分かった. 同じ鶏を主とするスープではあるが, 日本と中国では, 味とにおいがやや異なるものを食べていると考えられる. このことこそが, 日本人と中国人の食生活の違いを反映し, 嗜好の違いを示していると考えられるが, 今後さらに検討を要する.