超音波パルスドップラ法を用いて測定し, 咽頭部での流速スペクトルの20回以上を平均することで, ヒトの嚥下時における咽頭部を流れる食物の速度分布と粒子密度分布が得られた. 誤嚥しやすい食物と誤嚥しにくい食物の流速スペクトルには明らかな違いがあり, 超音波測定することで誤嚥する要因を考えることができ, ゲルの誤嚥の危険性・安全性を評価する指標を示すことができた. 超音波測定で定量的に示された咽頭部での最大流速と動的粘弾性との関係から, 貯蔵弾性率 G' 100Pa以上, 粘性率η 2Pa・s以上のゲルでは, 咽頭部での最大流速が0.2m/sと変わらず, 誤嚥しにくいと判断することができた. 食物の誤嚥しやすさと動的粘弾性による物性値には相関があることを明らかにし, 動的粘弾性測定により誤嚥の危険性・安全性を推測することができることが示された.