2450MHzのマイクロ波を照射して, 中心領域のみデンプン顆粒を加熱糊化させた麺を作製した. マイクロ波照射による麺線内の温度分布は, 加熱対象である麺線の直径に大きく依存した. マイクロ波を照射しながら, 麺線の中心付近および表層付近の温度を, 光ファイバー温度計を用いて測定すると, 周波数2450MHz (出力300W) のマイクロ波を照射した場合, 麺線の直径が15mmの場合, 照射を開始して約1分後で, 中心部の温度は60℃に達しているのに対して, 表層部は40℃であった. その結果, 中心部のみデンプン顆粒を糊化させることが可能であった. 麺線内のデンプン顆粒が糊化したことは, 偏光顕微鏡を用いて確認した. 一方, 麺線の直径が7mmの場合, 麺線中心部と表層部とで温度差は生じるが, いずれもマイクロ波照射による温度上昇速度が速く, また両者の温度差が小さいため, 中心部のデンプン顆粒だけ十分に糊化させようとすると麺全体が加熱糊化するという問題が生じた. この問題を解決するために, マイクロ波の誘電特性が氷と水とで異なることに着目し, 麺線の表面付近のみ凍結させ, 中心付近は未凍結となるように処理した麺をマイクロ波照射したところ, 中心部のみデンプン顆粒が糊化したことを偏光顕微鏡法によって確認できた.