(1) 小麦粉のくすみの指標としてL*値とその遊離アミノ酸類含量を, 国内産小麦4品種の試料で測定し, 比較した. 二種類のくすみ生成方法, 即ち窒素施肥量の増加 (4品種) および収穫時期の遅延 (2品種) により作成した, くすみを帯びた試料およびその対照の試料中の遊離アミノ酸類を測定した. (2) くすみの生成方法と関係なく, 小麦粉のくすみの指標であるL*値が減少するほどその遊離Trp含量も同時に減少し, 両者の間には高い正の相関があった. (3) 遊離Trp以外の遊離アミノ酸類の含量は, くすみの生成方法が違うと増加あるいは減少し, L*値との関連はなかった. (4) 以上の結果から, 国内産小麦粉中の遊離アミノ酸類の中では, 遊離トリプトファン含量と小麦粉のくすみ指標であるL*値とが関連することが示唆され, その間には0.73~0.93の相関があった.