本格焼酎の味に関する研究を行うにあたり, 本格焼酎の味を客観的に評価する手法の一つとして味覚センサを用いた市販本格焼酎の識別試験を行った. 1. 本格焼酎の無機成分を測定した結果, 本格焼酎の無機成分のほとんどが, 醸造用水に由来することが示唆された. 2. 本格焼酎用の合成基準サンプルを作成し, 各サンプルの測定値を補正することにより, 再現性良く識別できる測定法を確立することができた. 3. 市販の本格焼酎41種を味覚センサにて測定し, 主成分分析を行った結果, 原料別に分類でき, しかも味の濃淡まで主成分のグラフにより視覚的に表現することができた. 4. 味覚センサより得られるデータを数学的手法で解析することにより, 新商品開発や工程管理に応用できる可能性が示唆された. 今回の試験の結果, 他の食品同様, 本格焼酎の味を客観的に評価する手法として味覚センサが非常に有効であることが分かった. しかし, この結果は従来の官能評価を否定するものではなく, 従来解析が困難であった官能評価と化学分析値の組み合わせに味覚センサを加え, よりわかりやすく解析できるようなシステム構築を目的としている. 今後は, 本格焼酎における各脂質膜センサの特性 (意味づけ) について, 官能評価と化学分析を組み合わせた検討を行う予定である.