茶に含まれる主なカテキンは (-)-epigallocatechin gallate (EGCg), (-)-epicatechin gallate (ECg), (-)-epigallocatechin (EGC) 及び (-)-epicatechin (EC) の4種類である. これらのカテキンは茶飲料の製造工程において容易にエピマー化され, 異性体である (-)-gallocatechin gallate (GCg), (-)-catechin gallate (Cg), (-)-gallocatechin (GC) 及び(-)-catechin (C) となる. 本試験においては in vitro において様々な効果を持つガレート型カテキンを主に含有する茶抽出物 (TE) 及びそれを熱処理し異性化カテキンを増加した茶抽出物 (HTE) を高脂肪食に添加し, ハムスターに投与し脂質代謝への影響を検討した. その結果, 対照群で上昇した血漿コレステロール, 中性脂肪及び肝臓中コレステロールがTE及びHTE群で低下した. また, 糞中の中性ステロイド排泄量はTE群で増加の傾向を示し, HTE群で有意に増加した. これらの結果より, TE及びHTEは糞中への脂質排泄量を増加することにより, 脂質代謝改善作用を示し, 熱異性化カテキンがカテキンと同等以上の効果を有することが示された.