蒸煮処理早炊き米の平衡水分量は精白米のそれと異なり, 温度依存性があり, 高温 (50℃) では精白米の倍以上の水分 (62%) となった. 早炊き米の炊飯時間短縮には, 吸水量の増加が大きく寄与していることが示唆された. 吸水量の増加はSEM観察で明らかとなった米粒表面での澱粉糊化層の形成, 及び, X線回折図形が示す粒中心部まで及ぶ澱粉結晶構造の消失に起因する澱粉の構造変化が寄与していると推測された. 更に, 外観観察 (長径方向への不可逆的構造変化), 粒度分布 (早炊き米粉砕物の中心画分での細粒増加), RVA (最高粘度到達時間の遅れ及び粘度の低下) などの結果より粒全体の組織構造, 特に澱粉複粒が内在する細胞壁構造の変化も大きく関与していることが示唆された.