第一報で報告した電解水の殺菌処理の高度化に関してスケールアップした場合の実証試験や抗酸化成分 (SOD) への影響, 残留農薬の残存活性へ及ぼす影響について検討した. (1) 現場における有効な洗浄方法を確立するために, カット野菜の加工工場に洗浄槽を設置し菌数検査を実施した. まず洗浄槽で処理したネギの保存性を測定した結果, 室温や20℃保存と比較して5℃保存することで菌数の増加を抑制することが可能であった. 洗浄槽導入以前のネギ付着菌数推移は変動はあるものの一般生菌数105~106CFU/g, 大腸菌群数101~105CFU/gであったものが処理することで一般生菌数において104~106CFU/g, 大腸菌群数において陰性~104CFU/gに減らすことが可能となった. (2) 殺菌処理が抗酸化酵素の一つであるSODの活性に及ぼす影響を検討した結果, 無処理区が最も高いSOD活性を示し, つづいて水道水処理, 次亜塩素酸ナトリウム処理, 電解水処理の順となった. なかでも無処理と水道水処理の差が大きく, 洗浄水のカット面への接触が問題であると考えられた. (3) 電解水処理による残留農薬の残存活性へ及ぼす影響を検証するために, 有機リン系農薬のフェントエートに対する影響を測定した結果, 強酸性電解水との混合によって検出される量が減少した. モデル試験においては, 温強アルカリ性電解水処理→冷強酸性電解水処理によって最も低い残存活性を示し, 電解水使用による残留農薬の残存活性低下が示唆された.