低水分のクッキー様生地と吸湿市販菓子を加熱することにより, マイクロ波加熱による破断物性の特徴を調べ, 変化要因を検討した. 1. マイクロ波焼成品はオーブン焼成品に比べて破断エネルギーが3倍前後増大し, 生地の含水率が約10~20%高いオーブン焼成品の破断物性値と近似した. 官能検査の結果でも, マイクロ波焼成品は硬い, もろくない, かみ砕きにくい, 歯ごたえがあるなどの項目で, オーブン焼成品と明らかに異なることが示された. 2. 破断物性値と糊化関連値 (膨潤度, デンプン溶出率, α化度) との間には高い正の相関が認められ, 硬化要因として糊状物質の充填補強効果が示唆された. 3. マイクロ波焼成品は含水率15%前後の吸湿試料においても, 糊化が開始され, 破断物性値が増加することがわかった. 低水分域での昇温速度が速く, 試料内部が高温になるマイクロ波加熱特有の昇温特性が, 物性変化を加速すると考えられる. しかし, この現象が起きる要因として, 自由水の一時的な増加などの水の状態変化を考慮しないと説明できない部分が多い.