紫かんしょ色素 (PSP) を弱酸性下で加熱し, 主要アシル化アントシアニンのうち, YGM-5bからの3―位糖鎖フラグメントである6- O -Caffeoylsophorose (CS) の生成量を測定した. 温度, 酸の種類及びpHを変えて加熱し, CSの最大濃度が得られる加熱時間及び量的な生成効率を比較した. CS濃度は, 130℃までの加熱では加熱温度が高いほど短時間で最大値に達したが, 量的な生成効率は変わらなかった. 一方, 酸の種類による影響は少なく, pHによって得られるCSの最大濃度が異なっていた. pH3.0が最も高いCSの最大濃度が得られ, pH2.0及びpH4.0では低下した. 酸の種類では, 酢酸を用いることが量及び安定性の点で優れていた. 以上の結果から, 紫かんしょ色素からのCS産生の条件として, 酢酸水溶液を用いてpH3.0とし, 120℃, 2時間の加熱処理が最適であると考えられた.