5週齢Wistar系雄ラットを用い,酸化ストレス誘発剤としてパラコートを与え,これにビルベリーを同時に投与して,その抗酸化作用について検討した.その結果,パラコート投与ラット(PQ群)において,明らかな体重減少および肺の肥大が観察された.また,肝臓および血漿中のトリアシルグリセロール量が減少した.それに対しビルベリーエキス投与(PQ+B群)ではこれらの変化が緩和された.肝臓および血漿中のTBARS量は,PQ群は対照群(C群)に比べて有意に高値を示したのに対し,PQ+B群はC群とほぼ同程度にまで抑えられた.血漿中総コレステロール(TC)量は各群において差はみられなかったが,PQ群のHDL-C量はC群に比べ有意に低値を示し,PQ+B群はいずれもC群と同程度の値を示した.そこで,動脈硬化指数を求めた結果,PQ+B群はPQ群に比べ有意に低値を示した.次に活性酸素消去系の酵素について検討した結果,赤血球では,スーパーオキシドジスムターゼ活性とグルタチオンペルオキシダーゼ活性は,PQ群で低下したが,PQ+B群ではその低下が抑制された.カタラーゼ活性はPQ群で増加したが,PQ+B群ではさらに高値を示した.肝臓は赤血球中とは逆にPQ群でカタラーゼ活性が有意に低下し,GSH-Px活性が有意に高値を示し,PQ+B群ではC群に近い値が示された.これらの結果から,ビルベリーはパラコートによって引き起こされる酸化ストレスに対して,抑制効果をもつことが示された.