MTG処理により,WPC溶液の100℃加熱による凝集,増粘および溶解性低下は抑制された.特に,MTG 30u/g, protein添加により凝集は緩和され,溶解性は著しく向上した.MTGを10u/g, protein添加することによって得られたWPC凍結乾燥粉末から調製されたWPCゲルの瞬間弾性率(E0)および定常粘性率(ηN)は低下し,相対的にηNの割合は増大した.また,MTG処理によりゲル保水性は向上した.WPCにMTGを作用させた時の架橋結合量はWPCが低濃度で,低pHほど高かった.この原因はそれぞれの環境下でのタンパク質の分子形態に起因すると推察される.以上の結果よりMTG処理によるWPCの耐熱性付与が可能と考えられる.この耐熱性付与はSDS-PAGEの各タンパク質バンドの減少から,MTG処理により熱に不安定なβ-ラクトグロブリン同士の架橋およびα-ラクトアルブミンとの架橋で熱に安定な高分子が生成することによると示唆される.