1)フィリピン産米主要14品種の品種判別を目的に,いもち病真性抵抗性遺伝子 Pii, Pita-2, Pik-m, Piz 由来の5個のマーカーを用いてPCRを行った結果,14品種中4品種を識別することが可能であった.また,これらのマーカーも加え,合計8個のマーカーによりフィリピン産米14品種の相互判別が全て可能になった. 2)フィリピン産米のインド型米13品種において,DBE由来プライマー,SSSI由来プライマー,BE由来プライマー,アミロース含量に関連するプライマー,SSSII由来識別プライマーによるPCRの結果を説明変数にし,アミロース含量・ゲルコンシステンシーを目的変数として重回帰分析を行った結果,1%有意の相関(アミロース含量r=0.75,ゲルコンシステンシーr=0.84)が得られた. 海外でのいもち病抵抗性の育種は,真性抵抗性遺伝子の種類や数の分析もなされていない状況にあると言われており32),開発した数種類のいもち病真性抵抗性遺伝子由来のマーカーが,育種分野におけるいもち病抵抗性系統の選抜にも有効に利用されることが期待される.