製茶品質に最も影響を及ぼす粗揉工程において,茶葉の複素インピーダンスの周波数軌跡から細胞内外の抵抗と細胞膜・壁の静電容量の変化を調べた. 粗揉が始まると,細胞外抵抗は急減に減少した.これは茶葉が揉み手により加圧され,細胞内液が細胞外へ押出された結果であると考えられた.粗揉が進むと,細胞内および細胞外の抵抗は増加した.細胞外抵抗は細胞内液が細胞外へ押出される影響よりも蒸発による影響を受けた結果であり,また細胞内抵抗は茶葉全体の含水率が減少した結果であると考えられた.粗揉10分以降の細胞膜・壁の静電容量は茶温の影響よりも機械的な要因による影響の方が大きく,粗揉機の揉み手により加圧されることで組織の崩壊や劣化が進み,細胞膜・壁の静電容量は減少したことが考えられた.ただし,これらの原料生葉の影響を受けることが明らかであった.