浅漬の製造および保存中の微生物を制御することを目的に,白菜を試料とした場合の部位別微生物数を明らかにするとともに,SHS処理が付着微生物の殺菌に有効かどうかを検討した. (1)白菜には5logCFU/g以上の一般細菌が常在し,中葉部よりは外葉部に,元よりは先に多く分布していた.また,そのほとんどは表皮に付着し,組織内部からは認められなかった. (2)110~130℃,10秒のSHS処理により,白菜に付着するグラム陽性菌,グラム陰性菌および硝酸還元菌を2.5logCFU/g以下まで低減できた. (3)白菜への130℃・10秒のSHS処理により,付着細菌を4.4logCFU/g低減でき,乾熱処理や従来の洗浄殺菌剤処理(1.3~2.2logCFU/g)に比べ高い殺菌作用が認められた. (4)白菜に付着させた Escherichia coli O157 : H7および Stapylococcus aureus は,NaClO処理では約1logCFU/gの減少にとどまったが,SHS処理では2logCFU/g以上低減した. (5)SHS処理は白菜の物性や色調に大きな影響を与えなかった. 以上の結果から,白菜をSHSにより前処理することは,浅漬の製造における微生物制御に有効であることが示唆された.