シロサケ( O. keta )を素材として,大麦麹と耐塩性微生物( Z. rouxii, C. versatilis および T. halophilus )を添加した魚醤油を開発し,以下の結果を得た. (1)大麦麹と耐塩性微生物スターターの添加によって,発酵当初(6日間)で諸味の急激なpHの低下がみられた. (2)製品にはエタノールが含まれており,添加した酵母によるアルコール発酵が認められた. (3)呈味性の有機酸は乳酸と酢酸およびピログルタミン酸であったが,大豆濃口醤油やナンプラよりもそれらの含有量が低かった. (4)遊離アミノ酸はナンプラおよび大豆濃口醤油に比べ,アスパラギン酸,グリシン,リジンの含量が多く,ナンプラと大豆濃口醤油にはないアンセリンが含まれていた. (5)官能評価では,開発した製品は魚臭さがナンプラに比べて少なく,醤油様の香りが付与されていた.