小豆エタノール抽出物を添加した高コレステロール食餌(Adzuki EE食餌)を与えたラット群の血清コレステロール量は,コントロール食餌ラット群に比べ,有意なコレステロール上昇抑制が認められた.また,Adzuki EE食餌群ラットでは糞量およびコレステロール排泄量は有意に増加していた. in vitro ミセル化実験により,1.10mg/ml~5.56mg/mlの小豆エタノール抽出物添加によりミセル化したコレステロールの溶解度が,添加量依存的に減少することを明らかにした.また,Adzuki EE食餌群ラットの肝臓HMG-CoAレダクターゼ活性は,コントロールのそれよりも有意に低下していた.しかし,HMG-CoAレダクターゼのmRNA発現量に有意差はみられなかった.また,コレステロール代謝に関係する遺伝子であるコレステロール7α-ヒドロキシラーゼ,LDLレセプター,LCAT, ACAT, 肝臓コレステロールエステラーゼ,SREBP2のmRNA発現量に有意差はみられなかった.これらの結果は,小豆エタノール抽出物投与により,消化管においてコレステロールのミセル化が阻害され,コレステロールの吸収が抑制され,また肝臓においてHMG-CoAレダクターゼ活性が抑制されたことにより,血清コレステロール上昇抑制が起きている可能性を示唆している.また,SREBP1の発現量が有意に低かったことから,脂肪酸の代謝系にも影響を与えている可能性が考えられる.