19個のDNAマーカーを用いて,タマネギ複数個体分析し,集団のアリール頻度を算出した上で,そのアリール頻度を有意差検定することにより品種識別が可能であった.国内外の45品種(2系統を含む)について,有意差検定を行った結果,0.1%及び1%有意水準で990通り中5品種間を除き識別が可能であった.国内外の12品種を用いて年次変動を確認したところ,アリール頻度は安定しており,0.1%及び1%有意水準で有意差はなく,年次変動は少ないと考えられた.また,西日本の主要品種である3品種を用いて地域間差を確認したところ0.1%及び1%有意水準で有意差はなく,地域間差も少ないと考えられた.予め対象品種各24個体で各品種のアリール頻度を調査しておき,市場流通品を1件あたり15個体分析し,そのアリール頻度と比較した結果,国内5品種31件において,誤りなく品種を識別することができた.自家採種されている北海道の札幌黄を用いて,育成者の違いがアリール頻度に与える影響を調査した結果,育成者の違いによりアリール頻度に差が出てくるとの結論を得た.