熱風乾燥した調理用トマトを5段階の温度(30,40,50,60および70℃)で浸漬し,含水率変化と試料表面の軟化について調査したところ以下の知見が得られた. 1.乾燥トマトの吸水過程は乾燥過程と同様に拡散方程式の一つの解である指数モデルによる説明が可能である. 2.吸水速度定数 k および軟化速度定数 ks にはArrhenius型の温度依存性が確認され,軟化の活性化エネルギ(22.8kJ・mol-1)と吸水の活性化エネルギ(27.4kJ・mol-1)はほぼ同じ値となったことから,吸水過程において試料表面の軟化が直接吸水に影響を及ぼしている可能性がある. 3.試料の軟化が促進すると水分の移動抵抗が減少するため吸水が促進される.そのため,吸水過程において試料表面の軟化は考慮すべき重要な要素である.