単細胞化食品であるユニセルビーンズを原料に用いて,咀嚼・えん下困難者向けの粒のない納豆としてペースト状納豆を製造した. (1)ペースト状納豆の品質は,接種菌数を105/gとして製造した場合に最も高いと官能検査で評価された. (2)一般分析の結果,ペースト状納豆は窒素溶解率,窒素分解率が市販納豆よりも高く,たんぱく質の分解が進んでいた. (3)ナットウキナーゼ活性度を測定した結果,ペースト状納豆は市販納豆の約4.1倍を示した. (4)製造したペースト状納豆について東京都千代田区内の高齢者利用施設2カ所で高齢者による試食調査を行った.外観以外の項目では,対象とした市販納豆よりも有意に良いと評価されたが( p <0.05),外観については今後検討の必要がある. 本報で製造したペースト状納豆は,納豆同様高たんぱくであり,また高齢者等の咀嚼・えん下困難者向け納豆として食べやすいことが示唆され,機能性が期待される食品である.