PET粒子表面に付着したカテキンまたは牛血清アルブミン(BSA)の洗浄除去に及ぼす水酸化物イオン,次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)および乳化剤の効果を穏和なアルカリ性条件下で評価した.カテキンおよびBSAの除去率は,OH-濃度および次亜塩素酸イオン(OCl-)濃度に依存して増加した.pH10~12の領域においては,OH-とOCl-の相乗的な洗浄効果が得られた.NaOH溶液と乳化剤の併用は,NaOH溶液の表面張力( γ )の低下をもたらし,洗浄効率を良好に改善することができた.また,OCl-と乳化剤を効果的に利用することにより,pH12以下のOH-濃度でも十分な洗浄効果が得られた.本モデル実験を基に最適化したアルカリ洗浄液(pH 12,乳化剤 : 0.02%,NaOCl : 100mg/L)を用いた自動洗浄実験では,茶飲料で汚染したPETボトルの清浄度を良好に回復させることができた.穏和なpHと乳化剤およびNaOClの併用は,PET素材を劣化させることなく,効果的に有機物質を除去できる洗浄法であることが実証された.