微粉砕された大豆粉を用いた大豆粉豆腐の力学物性と嗜好性に対する大豆粉濃度(11~17%(w/w))の影響を検討した.さらに,共焦点レーザー走査顕微鏡写真を用いて,大豆粉豆腐のネットワーク構造について検討して以下の結果を得た. 1)大豆粉濃度が増加するのに従い,破断ひずみ,破断応力,破断エネルギー,貯蔵弾性率,損失弾性率は増加し,しなやかで(破断ひずみが大きい),硬い(破断応力および弾性率が大きい)大豆粉豆腐を形成し,離水量が減少した.大豆粉豆腐の貯蔵弾性率はタンパク質濃度範囲4.4-6.9%(w/w)において,タンパク質濃度の2.3乗に比例した.同じ原料大豆から調製し,タンパク質量とpHが似かよった通常豆腐に比べ,大豆粉豆腐の方が破断ひずみと破断エネルギーが小さく,もろくやや軟らかい豆腐を形成することが考えられる. 2)共焦点顕微鏡観察による豆腐のネットワーク構造観察から,大豆粉濃度が増加するのに従い,密なネットワーク構造が観察された.また,タンパク質濃度がほぼ等しい大豆粉豆腐と通常豆腐を観察した結果,通常豆腐では細かく均質なネットワーク構造が観察された.大豆粉豆腐では,おから成分(食物繊維)が,ネットワーク構造形成に関与していないか,阻害しているものと考えられる. 3)大豆粉濃度の高い豆腐(大豆粉濃度15%(w/w)と17%(w/w))では,その色が好まれなかったが,かたさ,こく味,総合評価の嗜好性が高かった. 4)官能評価によるかたさと力学物性値との間に正の高い相関(r>0.95)が認められた.官能評価によるなめらかさと弾力性と力学的物性値との間には相関が認められなかった.