柑橘果汁のレモン果汁に交流高電界処理(出口温度75℃,処理時間0.046s, 保持時間0.58s)を行うことにより,果汁パルプの品質安定性に悪影響を及ぼすペクチンエステラーゼを完全に失活した. 交流高電界処理によるペクチンエステラーゼの失活は,印加した電界強度の効果は認められなかったが,昇温速度による酵素の失活効果と,加熱温度の保持時間による失活効果との組み合わせとして考えられた.従って,交流高電界処理では,昇温速度を早くすることにより,保持時間を短縮することが可能であることが分かった.また,交流高電界処理における処理時間が短いことは,熱による果汁成分の変性が少ないことが裏付けられた. 本研究の結果より,柑橘果汁中に含まれる酵素失活を目的とした原料処理において,高電界処理の特長である早い昇温速度を利用することにより,高品質な果汁の製造が可能になると考えられた.