沖縄産カンショ茎葉の利用に向けて,16品種系統の葉,葉柄,茎の部位別の葉酸およびポリフェノール含量を測定した.‘沖縄100号’を除く全ての品種で葉と葉柄の可食部の葉酸とポリフェノールは,ホウレンソウ同様に高含量であった.‘宮農36号’の葉酸含量は他の品種に比べて高かった.ポリフェノール含量は‘春こがね’に多く含まれ,‘おきひかり’と‘アヤムラサキ’の含量は,他の品種に比べて比較的少なかった.‘備瀬’の葉酸含量は夏に含量が増加した.また,‘備瀬’と‘沖夢紫’のポリフェノール含量は春の収穫に比べて夏で2~3倍程度増加した. 沖縄の主要耕作土壌(ジャーガル,島尻マージ,国頭マージ)で栽培したカンショ茎葉に含まれる葉酸およびポリフェノール含量は,一部の品種を除き島尻マージで栽培したカンショに含量が多い傾向にあり,最適土壌であることも明らかとなった. 本研究で得られた結果は,カンショ茎葉が夏場の野菜収量不足になりがちな沖縄県の夏野菜としての利用や加工食品素材となる可能性を示唆した.また,品種の選択および栽培条件を検討していく上で,重要な基礎的データとなった.