市販菓子のクッキーと煎餅を吸湿(R.H. 7.6~R.H. 97%)させ,温度帯別(5~60℃)にテクスチャーを測定して,両試料の破断物性の違いを明らかにした. (1)油脂含量が多く糊化度の低いクッキーは,5℃では吸着水分8g, 20℃ 6g, 40℃ 4g, 60℃ 3g(いずれも乾物100g当たり)以上で軟化が開始され,硬さが保持される限界水分量が煎餅に比して低値であった.吸湿による軟化の度合いは,温度が上昇するほど顕著になった. (2)糊化度の高い煎餅は,中~高湿度(R.H. 56~80%)で硬化し,特に,40℃・水分11g/乾物100gの時点で応力と総エネルギーが最大値を示した.硬さが保持される水分量は5℃と20℃で20g/乾物100g程度,40℃と60℃で16~17g/乾物100gと,クッキーに比べて軟化に転じるまでの限界水分量が多いことがわかった. (3)官能検査の結果,クッキーはR.H. 56%付近(水分7.0g/乾物100g)でもろさが消失したが,かみ砕きやすさが残り,煎餅はR.H. 68%(水分12.8g/乾物100g)になると湿気を感じるだけでなく,粘りがあり,もちっとしてかみ切れないと評価された.機器測定による破断物性と官能評価の間に整合性が認められた.