ジャガイモのデンプン価は食味や調理・加工適性に大きな影響を及ぼす.各種の栽培条件下でジャガイモのデンプン価は変動し,製品品質や加工工程にばらつきをもたらすため,しばしば消費・実需面からのクレームを生じることがある.そこで,我々は可視・近赤外分光法を用い,実用レベルで,デンプン価の非破壊測定法を検討した.透過スペクトルは,コンベアで分光測定部へ試料を50m/min. の速度で連続的に供給しながら,光源からの光を塊茎にあて,対面するCCDエリアイメージセンサー(測定波長範囲730~930nm)で受光して測定した.比重法により求めた塊茎のデンプン価(実測値)と本法で得られた2次微分スペクトルからPLS回帰分析により検量線を品種毎に作成した.その結果,「男爵薯」,「メークイン」,「キタアカリ」の全規格込みの予測標準誤差(SEP)は,それぞれ0.87%,0.58%および0.86%であった.また,産地,付着土の有無および品温が測定精度に及ぼす影響は小さく,いずれの処理でもSEPは目標値の1%未満に抑えられた. 以上のように,選果ラインを組み合わせた光学的評価法により,ジャガイモ塊茎のデンプン価の非破壊測定およびデンプン価に基づいて選別(毎秒約3.3個)できることが示された.