風味と保存性に優れたソバ粉高配合生そば製造法を開発することを目的に,ソバ常在微生物の存在部位を明らかにするとともに,SHS処理を応用した生菌数の少ないソバ粉の調製法とそれを用いた生そばの保存性および食味について検討した. (1)市販ソバ粉からは5logCFU/g以上の一般細菌が検出され,コムギ粉(2.6logCFU/g)と比べ,極めて多いことが確認された. (2)ソバの常在菌のほとんどは,果皮(殻)の内と外および抜き実の表面に存在し,内部(胚乳部や胚芽部)では少なかった. (3)抜き実への110~130℃,10秒のSHS処理は,ソバに常在する一般細菌,大腸菌群を2logCFU/g以下に低減した. (4)SHS処理した抜き実を製粉したソバ粉は生菌数が2logCFU/g以下で,これを原料に調製した生そばは無処理に比べ明らかに保存性が向上した. (5)SHS処理はソバ粉の色調や生そばの食味に影響を与えなかった. 以上の結果から,ソバ抜き実へSHS処理により,生菌数の少ないソバ粉と,そば本来の風味を有する日持ちの良い生そばの製造が可能となることが明らかになった.