大豆油を試料とし,遠赤外線加熱の併用が過熱水蒸気処理の処理特性に与える影響について検討した.大豆油の加熱は,過熱水蒸気180℃,230℃とセラミックヒーター230℃を任意に組み合わせた加熱条件で行った. 併用法による大豆油のAVは時間と共に増加し,その上昇値は,単独法(180℃)よりも大きく,単独法(230℃)よりも小さかった.併用法で加熱された大豆油のPOVは,単独法の場合と同様に,加熱初期に一度増加した後減少した.過熱水蒸気を用いた各処理法の大豆油粘度上昇は認められず,加熱前後の色調は,視覚観察ではほぼ同じであり,明度を示すL*値,赤味を示すa*値,黄色味を示すb*値とも変化は小さかった.以上の結果より,過熱水蒸気処理への遠赤外線加熱の併用は,過熱水蒸気の単独処理と同様に,大豆油の品質への影響は少ないことを明らかにした.