醤油および醤油関連調味料の評価を専門とした記述分析型パネルの採用を行った.採用においては,特に醤油に対する評価能力が高いパネルの選抜を目的として一般的な基準液を用いた試験の他に,醤油や醤油と共通する特性を有する食品を用いての評価を行った.その結果,その採用試験を通じて以下の知見を得た. (1)味のテスト : 配偶法によるテストは一般のパネル選抜試験と同様,閾値付近の濃度で行うことが望ましい.また,認知閾,認知閾の1/2,認知閾の1/4濃度に調製したスクロース,酢酸,グルタミン酸ナトリウム溶液を用いた甘味,酸味,旨味強度の識別テストは,パネルの選抜に有効である.醤油を用いた塩味の識別テストは食塩濃度8.2%,11.2%,14.2%が適切である. (2)香りのテスト : メーカーや原材料が異なる醤油を用いた香りの識別テストは,醤油に対する識別能力が高い被験者の選抜に有効である.また,加熱時間(2分,5分)が異なる醤油の識別テストもパネルのスクリーニングに適する.トリメチルアミンを添加して醤油の香りを識別テストにおける試薬の添加量は50ppm程度が妥当である.なお,香りの識別テストを複数回行う場合,評価間の休憩が1分間であれば,繰り返しは2回を上限とするべきである. (3)記述テスト : 醤油と同じ醸造物で数多くの成分を共有するワインを用いた記述力の試験は醤油を専門としたパネルの選抜に有効である.