精白米を10℃,-20℃,-40℃,-60℃に6ケ月間保存したところ,いずれの保存温度においても保存中に水分は変動しなかった.米への吸水は,10℃に保存した場合,保存期間が長くなるに連れ減少し,6ケ月後には顕著に低い吸水率となった.-20℃,-40℃と保存温度が低くなるにつれて0ケ月との差は小さくなり,-60℃保存は最も差が小さかった.0ケ月との差は浸漬の最初の段階で顕著に現れ,表層部に生じた古米化現象による影響であると考えられた.吸水後の米粒の硬度は,-60℃保存は0ケ月と変わっていなかったが,-40℃,-20℃保存はわずかに差が生じ,10℃保存については大きな差が見られ,いずれも硬く変化していた.浸漬液に溶出した還元糖量は10℃,-20℃,-40℃保存では,保存期間が長くなるにつれて減少したが,-60℃保存では溶出する還元糖に変化が見られず,酵素の活性が維持されていると考えられた. 米飯の破断強度測定,テクスチャー測定では,保存期間が長くなると0ケ月と比較してかたく,付着性が少ない米飯となり,保存により米飯の物性が変化した.この変化は10℃保存の米飯で顕著であった.-20℃,-40℃と温度が低下するにつれて変化は小さくなり,-60℃保存では0ケ月の米飯の物性とほぼ同じ状態であった.官能検査においても,保存温度が最も低い-60℃保存の米で炊飯した米飯は10℃保存の米飯に比較して,有意に粘りがあり,やわらかいと評価され,総合評価においても有意に好まれた.