アズキの製餡過程で生成する食品廃棄物である‘渋きり水’中にはポリフェノール配糖体,少糖類やサポニンなど生理活性を有する成分が多く含まれていると推察される.本論文では,国産で品種の異なるアズキから調製した‘渋きり水’のいくつかの食中毒原因菌,植物病原細菌及び植物生育促進細菌の生育に対する影響について検討を行った.‘渋きり水’は,食中毒原因菌である Staphylococcus aures 及び植物病原細菌 Pseudomonas solancearum に対して強い抗菌活性を示し,植物生育促進根圏菌である Pseudomonas fluorescens に対しては,非常に弱い抗菌活性を示したが概観すると大きな影響を与えることはなかった.以上の結果より,食品廃棄物として処理されている‘渋きり水’が食中毒原因菌や植物病原細菌に対する抗菌成分の材料として再利用される可能性があることを示唆した.