チャの発現遺伝情報をもとに設計したSSRマーカー44種類の中から,品種識別に利用可能なマーカーを6種類選抜し,国内の主要なチャ41品種の遺伝子型を調べた.その結果,選抜したマーカーにより検出されたフラグメントは4~13種類と高い多型性を示し,最少2種類のマーカーの組み合わせにより今回調査したすべての品種を識別できることがわかった.さらに,異品種混入茶を模擬して「べにふうき」に「かなやみどり」を所定の比率で混合し,「かなやみどり」を検出できるか調べた.選抜したSSRマーカーによるPCR産物のフラグメント解析をDNAシーケンサーにより行った結果,混合比率2%(w/w)でも「かなやみどり」由来のピークが検出されたことから,異品種の混入を数%(w/w)レベルで検出できることがわかった.また,「かなやみどり」を「やぶきた」および「ゆたかみどり」に変えた場合にも同様の結果が得られたことから,他の品種の識別にも適用可能と考えられた.