果房段位,熟度,および根域制限による水ストレスがトマトの品質およびラジカル消去活性に及ぼす影響について調べ,以下の知見を得た. (1)制限区のトマト重量は対照区に比べて小さかった. (2)糖度,還元糖含有量,還元型アスコルビン酸含有量は,熟度の進行および果房段位の上昇に伴って増加する傾向にあった.またいずれも対照区より制限区の方が含有量が高かった.また,還元糖含有量はゼリーより果肉の方が,還元型アスコルビン酸量は果肉よりゼリーの方が高かった. (3)硝酸含有量は,熟度の進行に伴って減少し,果房段位の上昇に伴って増加する傾向にあった.また果肉では制限区より対照区の方が含有量が高かった. (4)滴定酸含量は,熟度の進行に伴って減少する傾向にあった.また果肉よりゼリーの方が酸含量が高かった. (5)ラジカル消去活性は,熟度の進行および果房段位の上昇に伴って上昇する傾向にあった.また対照区より制限区の方が活性が高かった.市販試料の活性は他の試料よりも低かった.