静水圧の微生物増殖抑制効果を利用したイカ肝臓の自己消化分解エキスの製造について検討した. (1)温度45~55℃,処理時間24~48時間で比較的高いT-N濃度,F-N濃度の分解エキスを得ることができた.静水圧は分解にほとんど影響しなかったことから,微生物の増殖を抑制可能な最低圧力である60MPaとした. (2)60MPa,50℃,48時間自己消化させた分解エキスのGlu,Asp等の遊離アミノ酸濃度は,市販の魚醤油と同等以上で呈味性に優れており,本法のイカ肝臓を用いた調味料製造方法としての可能性が示唆された. (3)イカ肝臓に含まれるCdは,分解エキス化によってやや減少したが,Cdの除去についてさらに検討する必要があった.