沖縄県特産の調味料で泡盛とシマトウガラシ( Capsicum frutescens )から作られるコーレーグースについて,辛味と香気の特徴を知るため,市販のコーレーグース,シマトウガラシ,およびシマトウガラシを浸漬したエタノール水溶液の分析を行ない,以下の結果を得た. (1)辛味成分に関しては,HPLCを用いてcapsaicinとdihydrocapsaicinを定量したところ,市販コーレーグース9種類のうち8種では,capsaicinは0.037~0.058mg/ml, dihydrocapsaicinは0.011~0.026mg/mlで,組成比dihydrocapsaicin/capsaicin(DC/C)は0.23~0.57であった.原料のシマトウガラシでは,それぞれ,4.17mg/g dry weight, 2.22mg/g dry weight, 0.53であった.シマトウガラシを浸漬したエタノール水溶液の定量結果から,コーレーグース製品中のエタノール濃度が高いほど,capsaicinとdihydrocapsaicin濃度は高く,組成比(DC/C)が大きいことが示唆された. (2)コーレーグースの香気成分に関しては,固相マイクロ抽出(SPME)を用いたヘッドスペース分析により,泡盛の主要成分であるエタノール以外に,24成分が同定された.GC-Olfactometryにより分析したところ,寄与が高い成分は,2-isobutyl-3-methoxypyrazineと3-methyl-1-butanol,各種エステルであった.原料であるシマトウガラシと泡盛の両方ともに,香気に大きく関与していた.