増粘性を異にする加工小麦デンプン5種を用いた生地を焼成し,吸湿保存下におけるテクスチャー変化を調べた.一方で,粘度,膨潤度,デンプン溶出率,α化度の糊化関連値および硬化点の水分量,水分活性を測定し,変化要因を検討した. (1)糊化促進性のある加工小麦デンプンを用いたクッキーと加水量を増やして焼成したクッキーは焼成時から硬く,吸湿によってさらに強靭な硬さとなった. (2)破断物性値と糊化関連値(粘度,膨潤度,デンプン溶出率,α化度)との間には高い正の相関が認められ,硬化要因として糊状物質の充填補強効果が示唆された. (3)糊化促進した試料は,吸湿時の硬化点が高湿度側へと移行し,硬化領域が拡大することがわかった.また硬化した試料は含水量が多い割に水分活性が低かった. 以上,デンプンの糊化特性が焼成品のテクスチャー変化と密接に関係していることが裏付けられたが,水の状態変化を考慮しないと説明できない部分もあった.