カキの葉には,ビタミンCとタンニンが多く含まれる.しかし,カキの若葉の成分についての研究はそれほど多くなく,特に天ぷらに用いる若葉についての研究は全くない.そこで,2006年5月に東京と横浜で採取した11品種(‘富有’・‘次郎’・‘前川次郎’・‘伊豆’・‘東京御所’・‘松本早生富有’・‘陽豊’・‘禅寺丸’・‘西村早生’・‘西條’・‘平核無’)13試料の若葉についてビタミンCとタンニン含有量を比較した.また,一部の若葉は天ぷらにし,調理影響を調べた.ビタミンCは2,4-ジニトロフェニルヒドラジン法で測定し,ポリフェノールはアルコール抽出液をフォーリン・デニス法で測定し,タンニン酸として濃度を算出した.総ビタミンCの平均含量は756.2±139.0mg/100gであり,品種別では最も多い品種が‘平核無’の978.7mg/100g,少ない品種が‘富有’の567.1mg/100gであり,総ビタミンCに占める還元型ビタミンCの割合は85.1±5.7%であった.ポリフェノールの平均含量は927±217mg/100gであり,品種別では多い品種が‘禅寺丸’の1484mg/100g,少ない品種が‘富有’の569mg/100gであった.若葉の総ビタミンC及びポリフェノール含量の平均値は,完全甘ガキ,不完全甘ガキ,渋ガキの間で差がなかった.天ぷらにした若葉の総ビタミンC含量は少し減少し,タンニン量に変化はほとんどなかった.5~7cmのカキ若葉の天ぷらを1枚食べることにより,ビタミンCは3.7mg,ポリフェノールは5.3mg摂取できることが分った.