本研究で筆者らは,肥満の予防,改善作用を持つ素材の探索として,サケ由来プロタミンのヒトにおける脂質吸収抑制効果を検証した. 成人健常男性に対する経口脂質負荷試験(OFTT)の結果,プロタミン500mgの摂取は,血中TGおよび遊離脂肪酸濃度の上昇を有意に抑制することが確認された.プロタミンの人工胃液処理物も豚膵臓由来リパーゼに対する阻害活性が見られたことから,プロタミンはリパーゼ阻害を作用機序とする脂質吸収抑制作用を持つと考えられた.プロタミンは安全性が確認されており,原料となる白子も古くからの食経験があることから,安全性の高い抗肥満素材として期待される.