わが国において,脂肪細胞の機能不全を起因の1つとする生活習慣病の増加に対してその予防は急務であり,食品因子からの予防が期待されている.本研究は,プロポリスエキスを対象として培養脂肪細胞分化のモデルである3T3-L1前駆脂肪細胞の脂肪細胞への分化調節作用およびTNF-αによる脂肪細胞分化阻害とアディポネクチン産生低下を解除する作用について,形態的もしくは定量的に検討した.その結果,インスリン存在下もしくはTNF-αによる脂肪細胞への分化阻害下において,プロポリスエキスは,濃度依存的に前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を促進した.さらに,TNF-αによるアディポネクチン産生低下も有意に抑制することが明らかになった.また,プロポリスエキスにはPPAR-γに対するアゴニスト様物質が含まれていることも示されたことより,プロポリスエキスには,インスリン抵抗性糖尿病を改善する可能性があることが示唆された.