DMSO法を用いてアガロペクチン(AP)高含率試料から純度の高いAPを精製した.寒天および精製したAPを用いて,示差走査熱量測定およびレオロジー測定により寒天のゲル化に対するAPの役割について検討した.精製度が低いAPでは系中にわずかに含まれるアガロース(AG)の会合・凝集によりゲルを形成したのに対し,精製度の高いAPは単独ではゲル化能を持たず,ゲルを形成しないことがわかった.また,精製度の高いAPは,ゲル化能がないにもかかわらず,寒天のゲル形成を阻害するわけではなく,むしろAGのネットワーク形成を助ける働きを持つことがわかった.以上の結果から,寒天のゲル形成がAGの会合・凝集のみによるものではなく,APがAGの3次元ネットワークを補強することで寒天ゲルの特性に大きな影響を与えることが示唆された.