緑茶抽出物(GTE)の食品保存への利用について検討した.酢酸,NaClに加えてGTEを添加した調味液で一晩漬けたキュウリ浅漬けの冷蔵中の生菌数の変化を調べた.その結果,3.5% NaCl単独では抗菌効果がなく,0.1% GTEと3.5% NaClの併用効果も低かった.単独および2者の併用では静菌効果の認められなかった0.1%酢酸,2% NaClおよび0.05% GTEの3者を含む調味液で一晩漬けたキュウリの浅漬けでは,漬け込み開始から7日間の冷蔵期間中の生菌数は初発菌数以下に抑制された.人為的に接種した腸管出血性大腸菌の増殖も,0.1%酢酸を含む調味液で処理すると7日間抑制された.以上より,キュウリに対しては,併用効果の認められないNaClと酢酸濃度の組み合わせでも,GTEを添加することで効果的に浅漬けの保存性を向上させ得ることが示された.