シュウマイの中でも最も生産量の多い肉シュウマイに焦点を当て,8種類の肉シュウマイの評価用語および評価方法を設定し,各試料の官能特性を明らかにした.その結果,以下の結果を得た. (1) 分析型パネルによる評価用語収集により135語が得られた.専門家パネル4人によって用語を整理し,第一次用語リスト61語を作成した. (2) 第一次用語リストについて,パネリスト全員に5段階のカテゴリー尺度を用いて試料を評価させた.クラスター分析の結果,61語は20のクラスターに分類された.クラスター分析結果について専門家パネルによる討議を行い,最終的にシュウマイの評価用語を選定し,19語を決定した. (3) 分散分析の結果,19用語中18語に試料間の有意差が見られた.ジューシー感が強いと,油っぽさが強い傾向がみられたが,一部例外もみられた.有意差のある評価項目間の相関係数の数は,肉の味が最も多かった.肉の味は,肉のくさみ,肉粒の大きさ,弾力感と正の相関があった.従って,肉の味の強さは,様々な評価項目と相関性が高く,肉シュウマイの評価では中核的な項目であることが推察された. (4) データを一元的に把握するために主成分分析を行った.その結果,第5軸までが意味のある主成分として抽出された.第1軸は「肉の存在感」,第2軸は「味付けの濃さ」,第3軸は「肉汁の量」と解釈した.試料の主成分得点と評価項目の因子負荷量を用いて散布図を作成したところ,それぞれの試料の特徴を読み取ることのできる肉シュウマイの官能特性マッピングを得た. (5) 8試料以外の肉シュウマイでも,得られた評価方法が適用できるのか否かを検討するために,新たに7種類の肉シュウマイの評価を行なったところ,同様の傾向がみられ,広範囲の肉シュウマイの品質特性を客観的に把握できることがわかった.