(1) トチノキ種皮よりポリフェノールを熱水で抽出し,Diaion HP-20, Chromatorex ODS 1024T, そしてSephadex LH-20のカラムクロマトグラフィーで分離したF1,F2,F3のそれぞれの画分をMALDI-TOF/MSで分析した.その結果,主成分は,縮合型タンニンであり,F2で19mer, F3で23mer以上のポリマーとして存在することが明らかになった. (2) トチノキ種皮のタンニンは,単結合のBタイプの架橋に加えて,二重結合により架橋したAタイプのインターフラバン結合を多数,有していた.また,構成単位は,ガロイル基により修飾されていない(+)-カテキン,もしくは(−)-エピカテキンであった. (3) トチノキ種皮に由来するポリフェノール成分について,糖質消化酵素に対する阻害作用を検討した.その分画成分は,α-グルコシダーゼおよびα-アミラーゼに対して強い阻害活性を示した.これらは,血糖値の急激な上昇を緩和する機能性食品素材として期待できる.