ふなずし8種類から Lactobacillus 属52株, Pediococcus 属11株,合計63株(NLB101~163)の乳酸菌を分離した.これら分離株のコレステロール低下作用をin vitroおよびin vivo試験系で評価し,以下の結果を得た. (1) 生菌では L. alimentarius NLB139, L. alimentarius NLB140および L. plantarum NLB160が強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示した.加熱死菌で強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示したのは, L. paracasei NLB162および L. paracasei NLB163であった. L. plantarum NLB136は,生菌,加熱死菌の両方で強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示した. (2) 生菌で強いコレステロール吸着作用および胆汁酸吸着作用を示した L. plantarum NLB136は,人工消化液耐性が強く,胆汁酸脱抱合陰性であった. (3) コレステロール負荷マウスを用いて, L. plantarum NLB136(生菌), L. paracasei NLB162(加熱死菌)および L. paracasei NLB163(加熱死菌)の血漿コレステロール値に対する作用を検討した結果,全株とも有意なコレステロール低下作用を示した.これらの中で, L. paracasei NLB163(加熱死菌)が最も強い作用を示した. 以上より,ふなずし由来乳酸菌から選抜された L. paracasei NLB163の加熱死菌は,新規なコレステロール低下作用を有する機能性食品素材となり得ることが期待される.