C. tropicalis pK233をイノシトール欠如培地でエタノールを加えて培養すると仮性菌糸型で増殖するとともに菌体内成分の漏洩量が増加することから,この菌体培養液の抗酸化能を,エタノール無添加増殖菌体(酵母型)の培養液と比較した.エタノール無添加培地では増殖後急激にORPが低下し,その後徐々に増加した.一方,エタノール添加培地では増殖後ORPが低下し,その後も増加しなかった.エタノール無添加培地に比べて,エタノール添加培地の培養液は強いDPPHラジカル消去能とO -2消去能を示した.本菌はイノシトール含有培地にエタノールを加えると酵母型で増殖するが,イノシトール欠如培地と同様に強い活性酸素消去能を示したので,菌の形態に関係なく,エタノールが本菌の抗酸化能物質の生産を促したものと思われる.