近年は,米の品種改良と市場における品種の更新が進んでいるため,現在わが国で流通している米の食味を従来の食味推定式で推定することは困難と思われる.そこで,近年開発された理化学測定法を用いて市販粳精米の食味推定式の作成を試みた.その結果,以下のことが明らかとなった. (1) 市販粳精米を対象とした官能評価では総合評価は外観と香りの影響を大きく受け,硬さと粘りの影響は相対的に小さかった. (2) 官能評価における炊飯米外観(または精米外観)と香り,硬さ,粘りを説明変数とし総合評価を推定したときの決定係数は約0.65であった. (3) 官能評価の各評価項目を理化学測定で推定したときの決定係数は精米外観,炊飯米外観,硬さ,粘りのそれぞれで0.59,0.55,0.41,0.38であった. (4) 食味総合評価を目的変数とし,透光度,千粒重,容積重,L6圧縮量の4変数を説明変数とした食味推定式の決定係数は0.64であった.この4変数を説明変数とし,食味総合評価の判別分析を行ったところ,判別的中率が73%であり,食味により精米をグループ分けするには有効であると考える.