ジャガイモの品質を迅速的かつ総合的に評価方法の開発を最終目的とし,ジャガイモの水分,炭水化物,アミロース,タンパク質および灰分含量,さらに調理・加工適性に関わる糊化粘度特性の非破壊同時測定に対する近赤外分光法の利用の可能性について検討した. インタラクタンス法で測定した近赤外スペクトルからPLS回帰分析によってジャガイモの主要成分および糊化粘度特性を予測する検量線を作成し,その予測精度の検証を行った.その結果,水分,炭水化物,アミロースおよびタンパク質の主要成分および糊化粘度特性は,予測値と実測値との相関係数はいずれも高く,スペクトルとの間に密接な関係が示された.その予測精度を表す予測標準誤差SEPは,水分で0.87%,炭水化物で0.95%,アミロースで0.6%,タンパク質で0.15%,最高粘度値で30RVU,最終粘度値で34RVU,ブレークダウンで24RVU,セットバックで22RVUとなり,いずれも相対的に高精度の予測結果が得られた.しかしながら,灰分に関しては十分な精度で検量線を作成することができなかった. 以上のことから,近赤外分光法を利用すれば,ジャガイモの主要成分および糊化粘度特性を非破壊的に測定でき,ジャガイモの品質を迅速的かつ総合的に評価できることが示唆された.